
はじめに
はじめまして!GameWithに入社して半年が経った、ベンチャー開発チームの湯浅です。
この記事は GameWith アドベントカレンダー2025 19日目の記事です。
今回は、私が所属する「ベンチャー開発チーム」が普段どのようなフローで開発をしているかのご紹介と、その中で発生したデザイン業務において「AIで100連ガチャ」を回した結果、エンジニアとして「プロフェッショナルとはなにか」を思い知ったお話をお届けします。
記事の後半で少し思想的な話をしますが、あくまで私個人の実体験に基づいた感想ですので、コーヒーでも飲みながら気楽に読んでいただけると嬉しいです!
ベンチャー開発チームってなにやってるの?
詳しくは別途紹介記事があるのですが、私たちのチームを3行で紹介するとこんな感じです。
- ミッション: グローバル版GameWithのPV数向上のため、ニッチかつ挑戦的なツールを開発・リリースする。
- 構成: エンジニア3名 + ディレクター1名の少数構成。
- 特徴: 開発はもちろん、企画・マーケティング・そして今回お話しするデザインまで、全部自分たちで泥臭くやります。
詳しくはこちら! tech.gamewith.co.jp
開発フローの全貌
GameWithはどの部署もゲームに対する熱量とスピード感が凄まじい会社ですが、私たちのチームはその中でも特に「機動力」と「自走力」に特化した動き方をしています。
1. 企画会議:データと直感の戦い
各々が日々のリサーチから「これはいける!」と思った企画を持ち寄ります。 情報サイトやSNSを巡回し、流行っている・流行りそうなゲームをみんなで吟味。 「いけそう」なタイトルがあれば、実際にゲームをプレイし、本当に需要があるかどうかをエンジニア自身が肌で感じて判断します。 攻略ライターチームと連携せず、エンジニアが企画のアクセルを踏むのがこのチームの特徴です。
2. プレゼン:対オーナー
企画が決まったらプレゼンです。誰にするか? オーナーにです。 このチームのプロジェクトはオーナー主導に近い形になっており、最終的なGoサインはオーナーが出します。 ちなみに今回題材にする「アバターシェアツール」は、一度ド正論パンチなご指摘をいただいてボツ(保留)になりました。 しかし、アバター要素が非常に魅力的な期待の新作『ブループロトコル:スターレゾナンス(通称:スタレゾ)』がリリースされることになり、「これならいける!」と敗者復活戦を勝ち抜いた企画です。ヨカッタ!
3. 設計&コーディング:再利用性が命
企画が通れば、即設計、即実装です。
コーディング
横展開を前提に、再利用しやすいシステム構築を心がけています。 コンポーネント設計や保守性の高いコードはもちろんですが、ゲーム特有の用語やテーマカラー、設定値などを constants.ts 等に集約し、最小限の修正で別のゲームツールへ展開できるアーキテクチャを構築しています。
もちろん、こちらも毎回生みの苦しみはありますが、そこは本職のエンジニア。経験と技術の引き出しがある分、デザインの「ゴールの見えない沼」とは違い、苦労しつつもしっかりと地に足のついた実装が進められます。ここまでは順調なんです、ここまでは……。
デザイン
基本的には「ツール」なので、機能的な使いやすさ(UI)を最優先します。
……というのが今までの基本方針でした。
しかし今回の題材は「アバターシェア」。 ユーザーが自慢のキャラクターを投稿し、それを見て楽しむユーザー生成コンテンツ(UGC)です。投稿される内容が視覚的な魅力に溢れている以上、ツール側のデザインも「投稿モチベーションが上がる」だけでなく、「見ているだけでも楽しい」と思えるような魅力的な体験を作る必要があります。
機能美だけでは足りない。「エモさ」が必要だ。 しかしチームに専任デザイナーはいない。
そこで始まりました。AIによるデザイン生成、地獄の100連ガチャが。
デザインAI地獄の100連ガチャ
前提として、私はデザインを理論立てて勉強したことがありません。 あるのは、業務や個人開発を通して培ってきた「モノ作りへの人一倍の情熱」と、Web業界でデザイナーの方から聞きかじった知識。そして、いちゲーマーとして膨大なコンテンツを消費して肥えた目だけです。
つまり、「求めているデザインを言語化する能力」も、「悪いデザインの何が悪いのかを指摘する能力」もないのです。
しかしAIは非情です。私の抽象的すぎる指示をそのまま抽象的に汲み取り、「なんかそれっぽいけど絶妙にダサい」デザインを量産してきます。
デザイン特化の生成AIでSSR直引き狙い
〜餅は餅屋。専用ツールなら一発で神デザインが出るはず!〜
まずはFigma MakeやBolt、Nanobananaといったデザイン特化のAIや、ビジュアル生成に定評のあるAIを選定。 「専用ツールなんだから、ポチッとするだけでSSRが出るだろう」という甘い期待を込めて、まずは20連ほど回してみました。

・・・ダサい!!
さすがの素人目に見ても分かります。レアリティは間違いなくノーマル。
「なんかダサいので直して!」と安易に頼んでも、AIは謎の装飾を盛るばかりで、結果として「迷走したパワポ」のようなカオスな画像が出来上がるだけでした。(※もちろん、原因は私の曖昧なプロンプトにあります)
Cursor並列実行による4連ガチャへの進化
このままではスタレゾのリリースに間に合わないため、次なる策として、CursorエディタのAI並列実行機能を活用することにしました。Cursorでは最大4つのモデルを同時実行できます。単発ガチャから4連ガチャへの進化です。
使用モデルのラインナップは以下の通り。
- GPT-5.2 (OpenAI)
- Opus 4.5 (Anthropic)
- Sonnet 4.5 (Anthropic)
- Composer1 (Cursor軽量モデル)
発見:頭が良ければいいってもんじゃない
回し続けて面白かった発見があります。
GPT-5.2やOpus 4.5のような超高性能モデルほど、私の曖昧な指示を深読みし、やたらと複雑で凝ったデザインを出してくるのです。リッチなんですが、「AIで作りました感」がマシマシで、Webツールとしては過剰。
逆に、軽量モデルであるComposer1や、バランス型のSonnet 4.5は、無駄に深読みせず、シンプルでモダンなデザインをスッと出してきました。


抽象度が高い指示の場合 - 「それっぽい」のをパッと出しでいいなら:高知能モデル - 手直し前提でベースを作るなら:あえて性能を落としたモデル
が良いのかなと思いました。
結局、なぜSSRが出なかったのか?
そうしてCursorでの並列4連ガチャもひたすら回し続け、気づけば合計100連近く……。 画面を埋め尽くすのは、ノーマルやレアのボツ案の山。ついにSSRは一枚も排出されませんでした。
それはガチャの排出率のせいではありません。 私が実際にAIに渡したプロンプトをご覧ください。
アバターシェアという、ブループロトコルをプレイしていてなおかつキャラクリエイトをメインにプレイしているユーザーがメインターゲットのSNSを作成しています。
(中略:機能要件の羅列)
画像がメインでモダンな雰囲気、直感的に操作できるデザインにしつつ、メインターゲットがアバターが好きなユーザーなので、視覚的に投稿のモチベーションが上がるようなデザインも組み込んでください
……いま見返すと酷いですね。 「モダンな雰囲気」「直感的に」「モチベーションが上がるようなデザイン」。 こんなフワッとした指示で、AIが私の脳内にある理想郷を具現化できるわけがありません。
排出されるカードがノーマルばかりなのは、私の「入力(技術力)」がノーマルだったからです。
「現実解」への着地と合成
自分の技術不足は認めました。 100連回してもSSRが出ないなら、手持ちのカードで戦うしかありません。

もちろん、リリースまでの期限が迫っているという事情もありました。 しかしそれ以上に、私たちの一番の目的は「最高の芸術作品を作ること」ではなく、「ユーザーにいち早くツールを届け、楽しんでもらうこと」だからです。
そこで私が取った策は、「マシな要素を合成する」ことでした。
「A案のレイアウトは見やすい」「B案の配色はモダンだ」「C案のボタンのあしらいは可愛い」 これらの要素をパズルのように組み合わせ、なんとかカードデザインを確定させました。そこからはそのデザインを起点に、全体のページ構成を作り、微調整を重ねて現在の形に落ち着きました。
これにて、ひとまずデザインフェーズは終了です!
完成したデザインと、残った「違和感」
では、最終的に「最高のデザイン」になったのか?
……というのは愚問ですね。プロンプトを見直した時点、いや、ガチャの途中から「最高のものにはならない」ということは自明でした。
実際に出来上がった現在のトップページのファーストビューがこちらです。

魂を込めて作りましたし、リリースできる品質には達していると信じています。 しかし、自分で見ても「なにか」が引っかかるのです。
- 配色のバランスが、なんかダサい気がする
- ボタンの丸みが、中途半端な気がする
- 各ページへの導線設計が、最適解ではない気がする……
- フォントサイズがでかい...?それともフォント自体が合ってない...?
- コードなら「不吉な匂い」を嗅ぎ取ってリファクタリングできるのに、デザインだと「匂う」のに「どこが腐っているか」がわからないもどかしさ
本職のデザイナーさんが見たら、瞬時に100個くらい指摘が入るでしょう。 私もなんとなく「変だ」とは思うのです。しかし、その「気がする」という違和感を言語化する能力も、それを解消するための具体的な修正案を出す能力も、私にはありません。
この「違和感の正体」がわからないことこそが、次にお話しする「プロフェッショナルとはなにか」の核心部分でした。
【考察】プロフェッショナルとはなにか
今回の「AIガチャ地獄」を経て、痛感したことがあります。
昨今、AIの台頭で「AIが仕事を奪う」「一瞬でプロレベルのものが作れる」というセンセーショナルな言葉をよく耳にします。これは半分正解で、半分間違いだと私は思います。
審美眼こそがプロの証明
AIはどこまで進化しても「手段」でしかありません。 たとえ素人がAIを使って、まぐれでプロレベルのデザインを一瞬で生成できたとしても、「なぜそれが良いのか」「どこを直せばもっと良くなるか」を判断するのは、結局のところ人間の「目(審美眼)」です。
その良し悪しを見極める経験や知識がない人間(私のようなデザイン素人)は、AIが出してきたものを「これが正解だ!」と鵜呑みにするしかありません。しかしそれでは、いつまで経っても自分の成長は止まったままです。
そしてこれは、デザインに限った話ではなく、私たちエンジニアの本職であるプログラミングも全く同じではないでしょうか。
「コーディング」から「設計と決断」へ
今のAIを使えば、「とりあえず動くコード」を作ることは、誰でもすぐにできるようになりました。
しかし、だからこそこれからのプロフェッショナルに求められる価値は、コードを書く速さそのものではなく、AIが出してきた成果物が「現在のプロジェクトの文脈(ビジネス要件や将来の拡張性)」において最適解なのかを判断する力にあるのではないでしょうか。
例えば、AIは論理的に正しいコードを書けますが、チームのリソースや技術スタック全体を鑑みて、「速度と品質のどちらを優先するか」といった正解のないトレードオフを決断することまではできません。
AIが出した選択肢を鵜呑みにせず、自らの審美眼で「決断」し、結果に責任を持つこと。 それこそが、AI時代におけるプロフェッショナルの価値なのだと思います。
「最高のサービス」を作るために
プロフェッショナルとは、AIという高性能な道具に振り回されるのではなく、それを自身の経験と知識でコントロールし、価値を保証できる人のことを指すのだと思います。
私はこれまで「最高のシステムを作れるエンジニア」ではなく「最高のサービスを作れるエンジニア」を目指してきましたが、今回の件でそれが更に強固になりました。
サービスを成功させるためには、エンジニアリング以外にもデザイン、マーケティング、データ分析など、学ぶべきことは山のようにあります。 今回、私はその中でも「デザイン」という壁にぶつかりました。だからこそ、まずはこの領域にしっかりと腰を据えて向き合い、AIが生成したものを正しく「評価・判断」できる目を養い、より良いモノを創れるようになろうと強く心に誓いました。
そしてリリースへ
……と、少し熱く語ってしまいましたが、実装フロー紹介の途中です!(笑)
苦労してキメラ生成したデザインを元に、実装(コーディング)を一気に書き上げれば、あとはリリースのためのフローが進んでいきます。
- レビュー: チームメンバーによるコードレビュー。
- リリース: 無事本番へデプロイ!
- 運用: リリース後のスケールや改善も基本的に自分たちで行います。
さいごに
以上が、私の所属するベンチャー開発チームの日常と開発フローです。 企画から実装、デザイン、そしてリリース後の運用まで。裁量が大きく、とてもやりがいのある仕事です。
『スタレゾ』のアバターシェアツール、ぜひ使ってみてくださいね!
アバターシェア: ブループロトコル:スターレゾナンス - GameWith
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