GameWith Developer Blog

GameWith のエンジニア、デザイナーが技術について日々発信していきます。

GameWith新規事業への挑戦事例_攻略メディアの場合(2018年)

SEO狙いのタイトルでこんにちは。GameWith執行役員の阿部です。

現在、GameWithでは様々な事業を仕込んでおり、 僕は主にメディア周りを担当することが多いです。
その中で、2018年注力していた事業について、 どのように事業開発をし、どのような結果を得たのか共有しようと思います。

これから新規事業を作る、社内外の方の参考になれば幸いです。

攻略メディアが新たに注力した2つの事業

1.ゲーム攻略の短尺動画

1つ目はゲーム攻略の短尺動画です。
市場トレンドとしてアクションゲーム(荒野行動やフォートナイト)が流行る中で、どうしても攻略サイト「GameWith」(以下、「GameWith」)のような文字主体のメディアは相性が悪いです。

また市場にはYouTuberによるエンタメ寄りのゲーム実況動画はあるのですが、攻略情報を伝えることをメインとした短尺動画はプレイヤーのいない領域でした。
今回はこちらの事業内容について書こうと思います。

2.ゲーム攻略メディアの海外展開

2つ目はゲーム攻略メディアの海外展開です。 こちらの需要はGoogleトレンドなどで確認できていたので、 採算の合うオペレーションを組めるかどうかの挑戦でした。12月7日のプレスリリースで出した通り、一定の成果が出ています。
こちらについても、エモエピソード満載なのでまた別の機会に書こうと思っています。

gamewith.co.jp

短尺動画プロダクトでの挑戦!

どんなプロダクトを作ったのか?

ゲーム攻略を文字ではなく、短尺動画で解説したアプリです。
「いずれゲーム攻略は文字でなく、動画で見る世界が来る。」 という流れを想定し、 「Mipple」というアプリをリリースしました。

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Mipple

当初の戦略は?(2017年12月頃)

このようなリーンキャンバスを想定していました。

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リーンキャンバス
(モザイクばかりでごめんなさい)

キャンバスの詳細は割愛しますが、この他に「市場規模はあるか」、「このタイミングでやるべきか」という点にも着目し、問題定義をしました。
まず、市場の大きさは既存メディアの「GameWith」自体が証明していたので、市場規模はあるという結論になりました。(打倒「GameWith」と社内でも言っていました)
さらに、動画広告市場の急激な伸び(特にインフィード広告の盛り上がり)もあったので、「今、このプロダクトを作るべきだ!」という流れになりました。

webtan.impress.co.jp

戦略を考える中で、特に重要な仮説は「チャネル」と「提供価値」に位置づけをしていました。

「チャネル」と「提供価値」を検証しよう!(2018年1月頃)

そもそもなぜチャネルが重要?

「GameWith」に集まっているトラフィックから誘導することも可能ですが、 それでは「GameWith」の規模が成長の上限となってしまいます。

そもそも、メインのターゲットとして考えていた、アクションゲームのユーザーは攻略需要がほぼなく、検索をしないため、「GameWith」に訪れているユーザーはごく一部に限定されてしまいます。
なので「GameWith」とは別に、独自のチャネルハックは必ず見つけようと考えていました。

とても普通のアイディアだけど、勝算ありでは!?

チャネルハックの手段としては、ゲーム内からの導線をもらうなども考えましたが、 初期ユーザーの獲得は結局自前でやらないと、そもそもの交渉権がありません。
なので、まずはSNSでの拡散に注力しようと考えました。

SNSで動画付きの投稿をすると通常よりもエンゲージメントが高く、拡散されやすい。 という特性を活かして、ここをハックできないかと考えました。

特にTwitterを活用して、ゲーム専用のサブアカウントを作る文化があり、その層にうまくバイラルすることでアプリDL数が伸びると想定していました。

既に自社でも各ゲーム攻略のSNSアカウントがあり、そこそこフォロワーがついていました。フォロワーの増やし方についてもノウハウがあったので、バイラルの起点は作れるという予想でした。

検証にプロダクトはいらない

チャネルと提供価値の検証はプロダクトなしで進めました。
Twitterアカウントを作成し、攻略短尺動画を投稿してみました。ここで検証したかったのは、「①どれくらいのユーザーにリーチができるか②どういったコンテンツがエンゲージメント高いのか③動画1本あたりの作成コスト④ゲームのアプデから投稿までの時間がどのくらいか」でした。
それがこちらのアカウント。

twitter.com

最初は動画編集者もいないので、デザイナーに無理を言って動画を作ってもらっていました。
自社リソースを使い、且つ低コストで検証できたのでこの点はよかったと思います。

初投稿が5万再生以上!!

初めて投稿した短尺動画は、社内で保有する別アカウントからのRTでブーストがかかり、5万再生以上されました。
もしアプリDLリンクをつけたら、1%のユーザーがDLするとして、1投稿で500DL。
1日10投稿する体制を作ったら、1日5,000DLをSNSで獲得できる、
と、夢を見させていただきました\(^o^)/

その後も継続して動画投稿をした結果、想定以上にSNSで動画再生されることがわかり「チャネルはこれでいける!」と考え本格的にアプリを作る判断をしました。

競合優位性は想定通り!しかし難易度が高い(2018年3月頃)

競合優位性は即時性

攻略メディアを5年運用して一番重要だと感じていたのは「情報の即時性」でした。
攻略情報の需要はゲームのアプデや発売された瞬間がピークで、2週間ほどで消えてゆきます。そのためGameWithではゲームのアプデ10分後には情報が出せるオペレーションを組んでいます。

媒体が文字から動画に変わったとしてもこの点が一番重要だと考えていました。
つまり、ゲームアプデの30分後には動画を出せる体制を作ることを目標とし、そのため動画素材の撮影、動画編集は内製化する必要がありました。

例:↓こういった動画はアプデの瞬間が一番需要あります

動画素材の撮影は、既に社内に攻略メディアを運用している部があるので、そちらから提供してもらうことでコストをかけず、なおかつスピードを出すことができます。

短尺動画のプロダクトが世の中にたくさん出ているのに、広告単価の高いゲーム領域の短尺動画プロダクトがないのは、この作成コストの面が大きいのではと考えています。

動画制作オペレーションの構築に時間がかかる(2018年4-9月頃)

動画編集スタッフを採用し、社内で動画作成のフローを組んだのですが、なかなか"アプデ後30分以内に投稿する"フローが組めませんでした。正直何に時間がかかっているかも、最初わからない状態でした。
そこで動画制作のフローをカンバンで管理し、ボトルネックを特定し、、、と、この話は長くなりそうなので割愛します。製造業のお話ですが以下の本が参考になります。

ザ・ゴール ― 企業の究極の目的とは何か

ザ・ゴール ― 企業の究極の目的とは何か

結果、当初は動画編集1名で2日に1本しか動画投稿できていませんでしたが、1日4本且つアプデ後30分以内の投稿が可能となりました。投稿本数の最大化をしつつも、どんな動画がウケるのかを常に考え、検証サイクルを回していました。

爆速アプリ開発!(2018年8月〜)

MVP中のMVP

優秀なエンジニアが入社してくれたおかげで、β版のアプリはなんと1ヶ月で完成しました。正直、想定外の完成スピードでした。
スピード優先だったため、拡張性を捨てた作りになっているのですが、この判断は正解だったと思います。(詳しくはこちら↓)

tech.gamewith.co.jp

アプリを出すことで特に検証したかったのはADNWによるマネタイズの可能性でした。
攻略記事よりも攻略動画のほうが作成コストがかかるので、どれだけ記事よりも収益性が高いかの検証が必須でした。

アプリで検証したかったマネタイズの方向性

マネタイズの方向性は大きくADNWか純広告の2パターンあります。SNS上にADNWの動画広告を差し込むことはできないので、ADNWでマネタイズするならアプリに注力となります。
純広告の場合、アプリ内での再生回数にこだわる必要はなく、全SNSアカウント+アプリでの再生回数で値付けされます。(いわゆる分散型メディア的な立ち回り)

価格相場は1再生10円?動画メディアC Channel、KURASHIRU、DELISH KITCHEN広告比較 | The Startup

最終的にはどちらもやるべきですが、スタートアップの初期段階なので、まずはどちらのほうが可能性が広がるかを検証してみようと思いました。そのためにもβ版のアプリを出して、動画広告のeCPMがどのくらいの数値になるのか検証しました。

結論、ADNW動画広告のeCPMはとても良かったです。ここは想定以上に良い結果でした。

UXに一番重要な要素は

アプリを出してからいろいろな改修を重ねてみたのですが、結局ユーザー体験に一番影響を与えている要素は、デザインや機能ではなく投稿される動画の質、本数、即時性でした。

当たり前ですが、コンテンツ量が少ないアプリを開くはずもありませんでした。
ということで、再度動画の質、本数、即時性の最適化に注力することにしました。

改善、改善、で見落としていたもの(2018年9〜12月)

アプリを出して気づいた課題

ほとんどの仮説を外すことなく、ここまで進めて来ることができました。またアプリやコンテンツの質は、改善することでしっかり成果が出ていました。しかしアプリには想定と違っていた大きな課題が2つありました。

1つ目はSNSでの集客が思ったよりもできていないことでした。アプリを作る前にTwitter投稿でバイラルの検証をおこなっていたので、仮説通りのインプレッションは確保できていました。しかしツイートからのDL数(CVR)が極端に低かったのです。CVRまで事前に検証すべきだったという反省点がありました。

理由は考えれば当たり前ですが、わざわざアプリをDLしなくてもTwitterで流れてくる動画でユーザーが満足してしまうからです。

しかし、ツイートからのCVRは最適化できると思い、様々な検証を行いました。Twitterに投稿する動画は最初の数秒だけにする、ツイートの文言を最適化する、そもそも別のSNSを試すなど、、、また、アプリユーザーの獲得を諦め、分散型メディア化するという方向性も考えました。

もっとクリティカルな課題

上で述べた課題はいわゆる「チャネル」の課題です。他の方法を探せばもしかしたら、別の最適解が見つかったかもしれません。現にTikTok経由でのアプリDLがめちゃくちゃ発生したなど、細かいチャネルハックの話はあったりします。

ですが、それよりも大きな課題がありました。それは「ゲーム攻略は動画で見たほうがわかりやすい」という仮説が間違っていたことです。正確には「ゲーム攻略は動画で見たほうがわかりやすい場合もある」だという考え方に変化しました。

一部の需要しか満たせていなかった

例えば、スマブラをプレイしていて「プリンの即死コンボの手順を知りたい」と思った時には、動画で見たほうがわかりやすいです。しかし「隠しキャラ解放のやり方を知りたい」と思った時には、動画で見るよりも文字や画像で見たほうがわかりやすいです。

とても当たり前のことを言っているように思えますが、僕は後者の場合においても動画で解説したほうがわかりやすいし、それが当たり前になる未来がくると考えていました。

しかし、動画投稿を繰り返し、ユーザーの反応を見るうちに、反応が良い動画、悪い動画の違いがわかってきました。問題なのは文字媒体のメディアにおいて人気のコンテンツなのに、動画にすると人気が出ないコンテンツがあったことです。つまり動画が最適な媒体ではない場合があるということです。

最適なUXは?

作り手側の「動画広告でマネタイズしたい」という思惑を除いて、単純にUXを考えた場合、「動画で見たいコンテンツは動画で見れるし、文字で見たいコンテンツは文字で見れる」というプロダクトが最適だと考えました。

その場合、短尺動画単体のアプリとするのではなく、GameWithアプリの機能としてマージするのが最適だという判断をしました。「GameWith」アプリには文字情報での攻略もありますし、さらに動画情報での攻略を強化したら最高!という考えです。

もちろんUIの複雑化などデメリットはありますが、「ゲーム攻略を知りたければ、(動画、文字問わず)このアプリ見ればOK」という世界観を実現する近道だと考えました。
この結論を出したのが11月末でした。

※まだマージはできていません

ざっくり仮説と検証の結果

超ざっくり振り返ると以下のような結果です。

  • 顧客   →◯ PvPゲームユーザーはやっぱり増えている。
  • 課題   →× 動画で見たいもの、見なくて良いものがある
  • 価値提案 →◯ アプデ後30分以内の動画はやはり需要高い。即時性は重要。
  • チャネル →× TwitterからのDL率は低い。別のチャネルハック必要。
  • マネタイズ→◯ 動画広告のeCPMは想定以上に高い
  • 優位性  →◯ 即時性を出すためには、素材提供するチームが社内に必要。専属での採用はコストが重い

これらを検証するプロセスはもっと高速化できなかったのか?という反省はたくさんあります。特に「知ってる人に聞いたほうが早い」は、もっと意識すべきでした。たくさんのアドバイスをくれた皆様本当にありがとうございます。

副次的に良かったこと

「GameWith」アプリと別のリリースフローだったので、ABテストをばんばん回すことができました。そのため、「GameWith」アプリにマージした際に、最初から最適なUIで実装することが可能になります。
また動画広告のeCPMが高いことがわかったので、マージする優先度判断に役立ちました。(コスパが合うか判断しやすい)

素晴らしい仲間と学び

以上が今年の軌跡です。
感情面を抜きにして書いたので、とてもドライな文章になってしまいましたが、実際ここには書ききれない無数の施策があり、プロダクトの数値に一喜一憂する素晴らしいメンバーいます。

メンバーのキャリアストレッチ

このプロジェクトに参加したメンバーは全員急激なキャリアストレッチをしました。
デザイナーがディレクターを行い、エンジニアは自分の領域でない開発を行い、動画編集者は企画を行い、とてつもない負荷だったと思います。それでも、全員とてつもなく成長したと思います。きれい事ではなく、本当にそれぞれが人生の資産になったと思っています。

今後の予定

短尺動画単体のアプリはクローズしますが、短尺動画としてのチームは継続し、GameWithアプリから最高の攻略動画をユーザーに届ける予定です!ユーザーの需要に対して、網羅的に応えられるアプリを目指します!

さらに、動画投稿本数、質、アプリプロモーションも加速させ、攻略動画においても圧倒的No1のポジションを取ろうと思います。

新規事業を生み出すGameWith

GameWithではこれ以外にも、たくさんの新規事業を仕込んでいます。
収益は安定しつつ、会社としては挑戦していく、とても良い環境だと思います。もしゲーム領域に関する新規事業のアイディアがあればDMください。一緒に作りましょう!もしくは自身のキャリアを極限まで広げたい方お待ちしております!(僕もキャリアのスタートはデザイナーからでした)

最後に、このプロジェクトに関わった全てのみなさん。ありがとう。
心から感謝してます、愛してます。

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